ゲームを作るのは楽しかった。
でも、いつの間にか苦行になっていた。
クリエイターにはこだわりがある、だからクリエイトする人間になったのだ。
だけど、誰にも見てもらえない評価されない、いつまでも孤島から抜け出せない。
そんな苦悩を描いた作品「GOODBYE WORLD -グッバイワールド-」
若干のネタバレが含まれていますので、ご注意ください

このゲームを見た時ビビッときたのが、ドット絵のこだわり。
インディーゲームを色々見ていくと、結構な頻度でスーファミやゲームボーイアドバンスなどあの辺りに慣れ親しんだには懐かしいゲームデザインはよくある。
これだけ3D技術が上がっていき、もはやリアル人間と区別つかないレベルまで達するかもしれないのに、このレトロ技術でゲームを作られた世界観は芸術の域にある。
縄文土器が当時はなんだそれ?って言われてたものが、うちらの時代になれば当時の貴重な資料として保管される。
一緒にすんなってなるだろうがそれと同じくらいに、ドット絵には芸術としての価値があると私は思う。
Isolation Studio

日本で活動しているゲームクリエイター「YO FUJII」氏の個人スタジオ。
アイソレーション=孤立や孤独と言うワードを使うなど、本作の登場キャラクターの心情がリアルなのは、制作者の苦い経験を活かしたことによるものと思われる。
ゲームに出てくる相方のクマちゃんが本当に実在してくれたらなと、どこか願望めいた雰囲気にも感じた。
(もし、頼りになる相棒いたらごめんなさい。)
ちなみにこういったゲームを「ナラティブアドベンチャー」と呼ばれている。
客観的な視点ではなく、特定の人物の視点でユーザーは物語を経験する。このゲームの場合はカニちゃん目線なので、彼女が体験したことをプレイヤーは体験し記憶していくことがナラティブという。
マジレスするとあれはナラティブだな、これはナラティブじゃないなど解釈がさまざますぎて、わけわかんねーです。
「BLOCKS」

物語の合間合間に挟まれるミニゲーム。単三電池4本使う大飯ぐらいのゲームボーイ風な携帯機で、時代が2017年と2022年なので、充電式なのでしょう。
横のギザギザのところに音量調整あったりと懐かしい。そして、ずっしりくる重さ。
Twitterでもいったことあるけど、このヒビ割れを入れているところがニクイ。塗装が剥がれてきて、おじいちゃんの形見かなんかか?って思うほど、まだ遊んでいる。
微妙に手ブレを起こしているという、妙なリアルさもある。
これで専用の配線繋いでポケモン交換してたんだよ・・・とぼっちには厳しい現実を教えてあげないとね。
中々の難易度
壊したブロックを回収して、配置しながら進むパズル要素のあるゲーム。ステージ構成も3面までと少ないものの、頭を使う場面も多く。ジャンプの低さによるテクニック、ブロックの置きミスなどで詰むこともあり、たかがミニゲームと侮ってはいけない。
とはいえ、3機全滅してもストーリーはお構いなしに進む。
実際に、ゲームボーイソフトって背景があまり変わらないし、ステージもそんな多くないしでそういう意味でもリアルだわ。
8面くらいあったら面白そうだったけど。
なんだか見たことある?
3エリア目のとあるステージが、そのまんま世界的有名なゲームにそっくりだ。
カギで最後クリアするのに、上からジャンプして旗を下げようかと思うほどだ。かのゲームはゲームボーイ版があるが、ゲームボーイ風に再現されたのは初めて見たので、別な意味で面白いことするなぁと感心する。
登場キャラクターについて

蟹江フジカ・・・
金髪の二つのシニヨンがポヨンポヨン動くプログラマー。学生の頃からすでに人間関係が薄く、クリエイト能力は高いが性格の不一致で組みたがらない。
社会不適合者と店長の八つ当たりを喰らったりと、人を怒らせる言動が目立つが反面「メンタル」はかなり脆く、人への相談もできずに「何かに」逃避行動繰り返すなど、リアリティのある人物。
MOTHER2が好きなのかそれらしいものが机に置いてある。スニーカー好きといった側面もある。

熊手ヨウコ・・・
ボブカットで明るい女性。何か決断しなきゃならないと思った時に、前髪を触るなど癖がある。
まんがきららのような、暗めな子を引っ張ってくれる主人公気質な存在。イラストが得意で彼女のドット絵はパブリッシャーが期待するほどの腕前。割と食いっぱぐれない、不況の時代に強いキャラだ。
楽しそうに絵を描いてる姿が、ドット絵の中でも最高峰に可愛い。

緑のヘッドドレスの娘
まんがきららだったら、喧嘩別れした後に「何かしら」で加入してゲームコンテストに協力する3番目の重要人物。
と想像してた。本当に別れたまんま出てこない。リアルだ。カニちゃんを自己チューと呼ぶ。
3人じゃ部が作れないよ!とか言ってもう一人追加する学園あるある・・・じゃない。

店長
社会不適合者と罵る人。適合者なんてこの世にそんないないってマジで。

パブリッシングおじさん
昔のようなゲーム作るくらいなら、レトロゲームの名作遊んでた方がよくないですか?って言うメガネ。
今だからストレスなく遊べるレトロゲームが作れるんだろが!と説教だわ。名作でも動き遅かったり、もっさりしたりすんだよ。

猫
自由奔放な姿に憧れを抱いているメタ猫。メンタル病んだ時は動物を見ることが推奨されている。
先生とウェイター
多分、遠い兄弟(?)
ゲーム制作者の苦悩

世界的に売れて金持ちになりたいって思考で作っているわけではなく、ゲーム作りというそのものが楽しくて、ただそれだけで生きていけたら良い。
だが、実際には生活費など生きていくためにお金が必要で、アルバイトなどで生計を立てていくが他のことに時間を消費していくのに、肝心のゲームは手応えが無い。
そういった焦りを感じつつも、中々前に進めず別なことに逃避してしまうジレンマ。
インディーズゲームがこうして一般的にも認識されるが、個人や少人数で作りたいというクリエイターは数が多く。話題に上がらなければすぐに埋もれてしまうほど競争率が激しい世界。
彼女たちが大成するのか、いつかは諦めてしまうのか。
このゲームはゲーム制作者に差さりそうな内容が一番にくるが、何かしらで自分には力がないと挫折した人に届くメッセージ性の強い作品だ。
©ISOLATION STUDIO
最後に
強いても彼女たちは「可愛い」し、容姿に引きつられてそれなりのファンがついてくるだろう。
と、思ってしまう部分もある。漫画やアニメは容姿の良い子だから報われる、とそれ以外には厳しい世界だとどこか意識してしまう。
若い子達だし、今挫折してもまだ立ち直れるはずだ。
これが40代の中年だったら?「むさいおっさん」だったらプレイしていたのか?
多分、自分はやると思う。登場キャラクターの目線で語られる物語を体験することがナラティブなら、そういう年代別の主人公に焦点を当てて語られる物語もゲームには必要なのかな?と思う。
インディーゲームだから、それが表現できるんだろうなと。
まぁともかく、この感じでRPGやりたいっす。