税金、徴収、使い捨て、退廃した世界溶鉄のマルフーシャを体感せよ

これは警告だ、あってはならない未来への警鐘だ

ディストピア文学、社会的意義
ディストピア(Dystopia)という言葉は、ギリシャ語の「dys(悪い)」と「topia(場所)」を組み合わせた造語で、日本語では「暗黒郷」や「反理想郷」と訳されることがございますわ。これは、人類にとって望ましくない未来社会を描く概念や作品を指し、全体主義的な統制、環境破壊、技術の暴走、社会的不平等といったテーマを中心に展開されるのが特徴ですの。
ディストピアの主要なテーマ

ディストピア作品に共通する要素として、以下のような特徴が挙げられますわ。
1. 全体主義的な政府
個人の自由や権利が極端に抑圧され、厳格な管理と統制が敷かれる社会。国民は監視され、思想や行動が制限されることが多いですわ。
2. 環境破壊と資源の枯渇
産業の発展や戦争、環境汚染の影響で地球の生態系が崩壊し、人類が生存の危機に瀕している世界。食糧や水、エネルギー資源が不足し、社会が混乱する設定も一般的ですの。
3. 技術の暴走
AIの発展や監視技術の進化により、人間性が失われる危機に直面する社会。テクノロジーが支配階級によって悪用され、市民が自らの意思を奪われる展開もございますわ。
4. 極端な社会的不平等
富と権力が一部の支配層に集中し、大多数の人々が抑圧される構造が描かれます。労働者階級が搾取され、特権階級のみが快適な生活を享受する世界観は、多くのディストピア作品に共通する要素ですのよ。
代表的なディストピア作品

ディストピア文学の代表作には、次のような作品がございますわ。
『1984年』 – ジョージ・オーウェル
全体主義的な政府が監視社会を築き、国民の思想や言動を徹底的に管理する世界を描いた作品。ビッグ・ブラザーという象徴的な存在が、人々を支配し続ける様子が恐ろしくも鮮烈。
『すばらしい新世界』 – オルダス・ハクスリー
科学技術と社会制度によって人々が管理され、「幸福」が人工的に提供される社会。しかし、その「幸福」は自由と引き換えに得られたものであり、人間としての本質的な生き方を問いかける作品。
『華氏451度』 – レイ・ブラッドベリ
書物が禁止され、知識が抑圧される社会を舞台にした物語。焚書官が書物を焼き払うことで思想の自由を奪うこの世界は、情報統制の危険性を強く示唆している。
ソーラーパンク(Solarpunk)
近年、ディストピアとは対照的な未来像を描く「ソーラーパンク(Solarpunk)」というジャンルが注目されておりますの。ソーラーパンクは、持続可能なエネルギーやエコロジーの推進、テクノロジーと自然の調和をテーマにした希望に満ちた未来社会を描きます。
ディストピアが社会の問題を指摘し、警鐘を鳴らす役割を持つ一方で、ソーラーパンクはその問題に対する解決策を提示し、よりポジティブな未来像を示すジャンルですわ。特に環境問題や資源管理の視点から、教育分野においてもこの思想が取り入れられつつありますの。
ディストピアが持つ意義とは?
ディストピア作品は単なる悲観的な未来予測ではなく、現代社会の問題点を浮き彫りにし、私たちに「このままではいけない」と考えさせる重要な役割を担っています。技術の進歩や社会制度の変化がもたらす影響をリアルに描くことで、より良い未来を模索するためのヒントを与えてくれるのですわ。
また、ディストピア作品を通じて、私たちは自由の価値や人間性の尊さを再認識することができます。警告としてのディストピア、そして希望としてのソーラーパンク——これらの対照的なジャンルが示す未来への視点を踏まえながら、現代を生きる私たち自身がどのような社会を築くべきか、考え続けることが大切ですわね。
それでも、異なる世界でも退廃した世界って魅力に感じちゃうのが人間ってものよね

へっ!単に美少女と銃のサバイバルが好きなだけなんじゃねーの?まぁクソな税金支払うの嫌いだってのは同意見だぜ?

『溶鉄のマルフーシャ』:ディストピア世界に咲く少女たちの抵抗劇

近年、インディーゲーム市場では個人クリエイターによる独創的な作品が注目を集めておりますが、『溶鉄のマルフーシャ』はその中でも異彩を放つタイトルですわ。本作は、日本のイラストレーター hinyari9 氏が個人で開発した2.5Dドット絵シューティングゲームで、ディストピアな世界観を背景にした戦略的なゲームプレイが特徴ですの。
閉塞したディストピア世界で戦う少女の物語

『溶鉄のマルフーシャ』の舞台は、厳格な管理社会 のもとで徴兵された少女たちが戦う、抑圧的なディストピア世界ですわ。プレイヤーは徴兵された少女 マルフーシャ となり、国境の門を守る任務 に従事します。容赦なく押し寄せる機械兵から門を防衛しながら、日々の生活を生き延びる という、サバイバル的な要素がゲームプレイの核となっておりますの。
本作の世界観は、オーウェルの『1984年』やブラッドベリの『華氏451度』に通じる全体主義的な抑圧と戦う物語が反映されており、単なるシューティングゲームにとどまらず、プレイヤーに現実社会の不条理や支配の構造を考えさせる要素が散りばめられていますわ。
戦略性が求められる独自のゲームシステム

1. シンプルながら奥深い戦闘システム
本作はタワーディフェンス型のシューティングゲームで、プレイヤーは 左右に移動しながら敵を撃退 し、門の耐久力を維持する ことが目的ですわ。マルフーシャ自身はダメージを受けないものの、門が破壊されるとゲームオーバーとなるため、いかに効率的に敵を撃退し、門を守るかが重要になりますの。
本作のシューティング要素は、クラシックな アーケードシューティング に通じるシンプルな操作感を持ちながらも、タワーディフェンス的な要素を取り入れることで、緊張感のある戦略的な戦闘が楽しめますわ。
2. リアルな経済システム:給料と税金
ゲームの最大の特徴の一つが、戦闘後に支給される 給料 と、それにかかる 所得税や保険料 のシステムですの。この要素が、プレイヤーの行動選択に大きく影響を与えることになりますわ。
たとえば、戦闘後に得た給与からは 税金が控除 されるため、実際に手元に残る金額は少額になります。この限られた資金で、武器のアップグレード、防衛設備の強化、仲間の雇用 などを行わなければならず、資金管理の戦略が求められますの。
この経済システムは、資本主義社会の不平等や国家の管理体制をゲームプレイの形で体験させるもので、ディストピアのリアリティを強化する要素として機能していますわ。
3. 戦略を広げるカードシステム
戦闘終了後には、ランダムで 3枚のカード が提示され、その中から 1枚を購入 することで、ゲームプレイに新たな要素が加わりますの。このカードは 70種類以上 あり、次のようなカテゴリーに分かれていますわ:
- 武器の強化(ショットガンやライフルなど)
- キャラクターの強化(ステータス向上)
- 防衛強化(門の耐久力アップなど)
- チャンスイベント(追加の給料や特別なボーナス)
このカード選択が ランダム要素 を生み出し、プレイごとに異なる戦略を立てる楽しみを与えてくれますの。ローグライク要素 を持つことで、繰り返しプレイしたくなるゲーム設計となっているのも魅力ですわね。
4. 仲間の雇用システム
特定のカードを入手することで 仲間を雇用 でき、戦闘のサポートを受けることが可能ですわ。しかし、一度に雇える仲間は 一人のみ であり、新しい仲間を雇うと前の仲間はいなくなります。この制限が、プレイヤーに「誰を選ぶべきか」という戦略的な選択を迫りますの。
5. マルチエンディング
本作は マルチエンディング を採用しており、プレイヤーの選択や仲間の組み合わせによって異なる結末を迎えることができますわ。一度のプレイ時間は比較的短めに設定されているため、繰り返し遊ぶことで、さまざまなエンディングを回収しながらキャラクターとの交流を楽しむことができますの。
対応プラットフォーム
『溶鉄のマルフーシャ』は、以下のプラットフォームでプレイ可能ですの。
- Steam(2021年8月26日リリース)
- PlayStation 4 / PlayStation 5(2023年4月6日リリース)
- Nintendo Switch(2023年4月6日リリース)
- Xbox One / Xbox Series X/S
評価:独創的なゲームデザインと好みが分かれる難易度
本作は、ディストピアな世界観とレトロなドット絵、戦略的なゲームプレイ で高い評価を得ておりますわ。一方で、ゲームの難易度やランダム性がプレイヤーの好みによって評価が分かれる点もございます。
ポジティブな評価
- 独特なディストピア世界観 と 魅力的なキャラクターデザイン
- シンプルながら戦略性のある シューティング+タワーディフェンス
- 経済システム がもたらすリアルな社会的メッセージ
- 何度も遊べるローグライク要素 とマルチエンディング
賛否が分かれる点
- 運要素が強いため、戦略を立てづらい場面も
- 高難易度のため、カジュアルプレイヤーには厳しいことも
深夜管理人のぼやき
ここからは私のネタバレありのぼやきなので、特に攻略とかではなく色々な思ったことをつらつらと書き記す場だ


いきなりハンドガンでここを死守せよと命じられる理不尽さ、さらに守ったのに待遇は良くなく税金控除はのしかかり、良い武器や仲間すらも巡り会えない状態に陥るなど何か今日日の日本およびどこか国に文句言いたくなる気持ちが理解できる。
序盤のステータスの上げ方やアサルトライフルやライトマシンガンなど安定した武器をうまく使っていけば中盤の市街戦から比較的楽になっていく。大量に押し寄せる物量作戦でショットガンなど頻繁にリロードを挟まなきゃいけない武器はそもそもこのゲームとは相性悪いのではないか、または自分でハードルを上げるためのやり込みとして用意された形だと思われるので、好きだからで生き残れない。
登場人物が宇宙へ上げられた動物をモチーフにしているらしく、その悲劇的な内容や各々のビジュアル含めて魅力的だ。マルフーシャはうさぎ、ライカは犬(クドリャフカ)とのこと。
100日間生き延びるというため、1日1日はあっさり目で10秒から1分程度で終わるがやはり長い。特定の仲間エンドを迎えるなどやり込み要素はたくさんあるが、ここは個人的だが若干飽きやすい部分もある。選んだ仲間ルートで敵の配置パターンやボス、ラスボスなどが変わったりすれば味変して楽しいと勝手な想像だが、それでもこの値段でお手軽に遊ぶには十分過ぎるほどサービスが良い。
ここ最近はドット絵のゲームを評価し、よく遊んでいるがこのマルフーシャもドット絵でこういう可愛らしい絵と世界観を描けるのかと喜ばしいものだった。次回作のスネンジカも登場しているので、そちらの方も遊びたいと思う。
やっぱ、ウサギがこのサブカルチャーの覇権を握るのよねぇ〜、ほらほらどうですか?
