製作期間七年間という膨大な時間を、監督、キャラデザ、編集、撮影、照明、音楽はてはボイスまでも担当するのは堀貴秀氏。
この作品を知ったのは、偶然だが「PUIPUIモルカー」からの繋がりである。監督の見里さんはNHKで放送されていた「ニャッキ!」の伊藤有壱氏の教え子であったりと、そういった情報を眺めてる最中に、ふと白いロボットがウチの海域にあらわれた。
「ジャンク・ヘッド」と呼ばれるSF作品が、同じくストップモーションアニメで表現されたもので、この度映画になると報じられていた。
ショートアニメでわずか5分に収束されているモルカーだが、一話作るのだっても一ヶ月以上かかる手間のかかるものだ。それを2時間近くに渡り一コマ一コマ撮影していくという労力は計りし得ない。
兎にも角にも、映画館探して飛び込むことにした。なんか絶対見といた方がいいという直感が働き、そういう時って友達や家族、知り合い含めて誰にも言わないでまっしぐらなものだ。たとえ一緒に行くって行っても、自分一人で世界を感じたいから邪魔だって切り離す。それくらいな感情である。

お腹も空いていたので、携帯用補助食を所持。なんか映画館行ったら必ず買ってる気がする。絶対いらんのにね、でも、食べると観るを同時にやるって昔からやってることだから、これが一つのコンセントレーションなんだろう。
(ウマ娘スキルで検索結果に引っかかりやすいが、意識し始めたのはペルソナ3(コンセントレイト)だったりする。こういう言葉あるんだって)
#いらない動きが多い。だが、そこが魅力だ
長寿種になり生殖機能が失った人類。しかし、死を克服できた訳ではないので、殺し合いや宇宙からの侵略、そして今作ではウィルスにより人口減少と割と現代に通ずる洒落にならない世界観。
人工生命体「マリガン」を創造し、手足として働かそうと計画したがSFお決まりの反逆に合い、地下世界を乗っとられるという人類のお粗末さがさらにうかがえる。
爆発的に増えていくマリガン達のいる世界が、人類を再び甦らせるための鍵があると調査員を募集。ダンス講師の主人公パートンが、危険極まりない地下世界へと突入する…が、途中で事故に合い始まって間もなく、彼は早速に死への道が訪れようとしていた。

謎に満ちたアンダーワールド。だが、地上は地上で何が起こっているかは断片的にしかわからない。主人公パートンですらも無機質なロボットのようで、食事のシーンがホログラムで出たものをホログラムのナイフやフォークで頂いている。
この世界は食の楽しみすらデータで補わないといけないくらい、趣味趣向がそぐわれた世界なんだなと。アニメの「21エモン」で顔だけで体など必要ないから消してしまおうと主人公のエモンの体も危うく消されかけたことがあったが、人類の進化というのは最終的には「そこにいればいい」という、食も性欲も欲するものが何もないのが高次元の有り体なのかなと。
ここで、監督の息抜きなのかユニークなシーンがある、寝起きの後に洗面台へやってくるパートンが今日の髪型何にするかを結構な時間を使って悩む。最終的には「買わなきゃよかった」的な落ち込み方をしていた。
その後、自身の開いているダンス教室で女生徒の豊満なボディに反応してしまうシーンが出てくる。「これ、いるか?」とも思われるところが多々出てくる。
それは、アニメもそうだが、余計なコマなど作ってるくらいなら仕上げを急いだほうがいいからだと、スクリーン越しの神視点は言う。
地下世界で3バカ兄弟(最後になってアレクサンドリアと結構いい名前で呼ばれている)が、IQ-Pとよばれる頭部のみマリガンが急に針を持って3バカの1人にカンチョウするという笑いシーンを入れたりしている。さらに三バカが戦う時にカンフー映画のような棒術で格好をつけるなどもしていたりと、そこに労力使うんかい!と、ついつい思うところがあった。
多分、企業がスポンサーに加わったりと何かしらの絡みあったら、これ、いらんだろとカットされるんじゃないかと思ったが、この余計な仕草が魅力だ。
序盤にパートンが襲われる虫の足をしたマリガン、
旧劇場版「エヴァ」に登場した量産型のような奇妙な体型をした大型のマリガン、
最終的に戦うラスボス、トリムテとよばれるマリガンを捕食しまくる大型種など、嫌悪感いわくほど、気持ちの悪いものが登場しグロテスクな場面が多々出てくる。
中盤で訳あって話せなくなったパートンを親切で案内しようとしたマリガンがいたが、そこらへんのシーンも笑えるけど「どっぷりホラー」であり、先ほど書いた余計ないシーンが挟まないと終始グロキモなだけである。
うまいこと、甘い辛いしょっぱいが混ざり合い最高の状態で地下世界を地獄としないところが、魅力的だ。
#個性的なマリガン
言わば同じ人類同士が共食いし合う世界観。我々、人間と同じような進化を遂げたものもいれば、遺伝子が不安定で化け物かしてしまったりと様々な形で出会う。
生命の木が女性方マリガンから誕生する訳だから、地下世界は基本的に女性の方が立場が強い模様。というか物理的に敵うわけがない。バルブ村の人たちはあの後元気にやっているのか気がかりで仕方がない。多分、死んだんじゃないかと(あっさり)
https://gaga.ne.jp/junkhead/fanart/index.html
公式で募集されたファンアートでも、三馬鹿や赤いフードを被った少女「ニコ」など、数が多い。何せ、初めてあった女性型マリガンがマッチョな方だったから、ニコが登場するまでアレしかいないのかすら思った。
(序盤で変異型を処理した際に生命の木になったので、一番初めに登場した女性型は、あの殻を纏ったマリガン)。
ニコやホクロ(共に過ごしたから兄貴だと思ったら従者という紹介みたい)。ドクタールーチー・助手の佐藤・アダチなど公式で名前が連なっているが、三馬鹿の名前が判明するのは、トリムテ戦でようやくだ。名前あったんだ。。。三鬼神みたいなよばれ方はしてたが。
纏ってる衣装など外すと、ほとんどが同じ顔なのだろうが十分なほど差別化できていて、ああ、こいつはバルブ村の職長さんだとか、技術者の人だとすぐにわかるキャラ作り。理想的だ。
「モルカー」も、全員が同じ体型で顔もほぼ似ている、挙句に言語を話すわけでも無いので音により判別は難しい。しかし、全員が同じ色だったとしても、キャラつけは完璧でかぶりが無いに等しい。そのため、動きを見ていたら誰が誰だか一目瞭然。国を問わずに評価される点は同じで、造形が素晴らしい。
#見てよかった。もう一回は見ときたい
気持ち悪い描写多々あり、嫌悪感抱くような(おそらく序盤の可愛い顔してウ○コ)ものもあるでしょう。そのため、監督堀さんが女性受けが難しいのではと危惧していたが、Twitterで炎上こそしたが裏を返せばそれほど女性からの評価が高いという証左でしょう。
数々の著名人からの拍手喝采と、その評判に偽りなしな映画「JUNKHEAD」、私は見て損はなかったし、ポップコーンとペプシのセット代も惜しくもない作品だと思いました。
三部作だから、途中であんな感じで終わったのか。次何年後っすかね。

ニコが生命の樹の役割考えると、なんか物悲しいエンドになるような気がしてならない。爺ちゃん(婆ちゃん?)マリガンとニコとホクロのひと時がちょっと泣ける話だったので、無事パートンと一緒に生き抜いてほしい。
涙あり、笑いありで体からクノコが生えるわ!な作品。ガルパンが全話完成するのを待てる人には、どうってことない時間でしょう。何せ、ドラクエ7の発売をずっと待ち続けられた私ですので(関係ない)