世界観について
コーヒーを扱った電子遊戯はあまり類を見ない。
ましてや、他の遊戯で見られる迫力ある激闘や、さまざまな出来事による感情の浄化などだが、このコーヒートークという作品にはそれらは見られない。
誰かが困っているから、現場へ赴き解決へと助力する訳でもなく、ただ一人の珈琲店の店主として客を出迎える。本当にただそれだけなのだ。
ゆえに、登場人物の会話を完全に理解しようとするのはとても難しい。何故なら、その世界に生きている人々にとっては当たり前であるが、我々には架空の言語にしか捉えられないのだ。
そうだね、普通に生活してても他の人同士の会話って、その人同士だけの世界だから外側からはわかりにくいよね
そこが、この作品の面白いところだ。他作品なら順を追って説明せねばならぬところだが、この作品はそれほど必要がない。
なぜなら、ただの珈琲店の店主だからだ。
病院で働く人、警察署で働く人、電脳界隈で己を発信するもの、歌手として世間へと関心を広めたいもの。それぞれに店主の知らない集落があり、それぞれに店主の知らない同人がいる。
この作品の特徴って、登場人物が神話とかに出てくる妖精や異人種が出てくるんだよね
狼男、ヴァンパイア、エルフ、サキュバス、オークやネコマタみたいなのとか、海棲人とかね全員が社会人として働いているけど、その種族特有の悩みってのが人間社会とうまく行っていないみたい。
長生きゆえに抱える悩みとか、狼男なので満月の夜は危ないとかそういう感じもあるなぁ。
前作は「ふぁんたじぃ」な悩みが見られたが、「あいどる活動」など「りある」な描写もよく見られたものだ。
今作だと、SNS動画投稿してるインフルエンサーとか、あまりPVが集まらないうえに誹謗中傷された配信者。
それに結婚を控えたカップルとか、幽霊怖い警官とかね。
現代の悩みっていうのを、別な種族で描いてるから親近感湧くというか、うーん、そだなぁ。
なんだか魅入っちゃうんだよね。
ただでさえ、人間とは違うものたちだ。元から否定され続けていたのだろうな。
人は同じ人ですらも、拒絶する。意味不明なものに対しては、好奇心より恐怖の方が最優先となる。
この珈琲もそうだ。黒い液体。どこかの国ではこれを泥水とも呼んでいたそうだな。実に早まった考えだ。
早急なる「解」を求めていると、正しいことも伝えたいことも、深淵へと沈んでいくだけ。
静かなる空間で、ゆったりと落ち着いて解答を得るのが「政(まつりごと)」であろう。
な、なんかよくわかんないけど、喧嘩ばっかりしてる人の動画はあんまし好きくないし、迷惑系のYoutuberとか悪口言って炎上したVtuberとかね。
ネットの世界ってぐちゃぐちゃだから、コーヒートークの世界ではさらに種族による差別が多いんだろうなって思ったよ。
そういった差別という形の擬人化で、「りある」に住む我々への皮肉とも見えるな。
だが、コーヒーには差別などという言葉は存在しない。誰にでも目覚めを施す天の使いであり、欲を求め過ぎれば誰にでも睡眠を妨害する悪魔となる。
「お茶」も、ワタシらの健康促進のための・・・アレじゃぞ!飲みまくっても、そんなに悪くならないぞい!
ミルクだって、コーヒーやお茶と混ぜるとまろやかになるし、ホットミルクは寝つきが良くなったりでいいことだらけだよ。飲みすぎるとお腹に良くなかったりするけど。
これらの神秘を持ってしても、人の感情というものは御しきれないということだ。業が深い。
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