こちらも解体せよ、「和階堂真の事件簿」を解体せよ!


雨は良い、人は離れていくし、落ち着いて珈琲がいただける最高の天候だ
こんにちわ、今回はトレンチコートと渋ーいタバコが似合う男性によるハードボイルドなゲームのお話だよ

ハードな卵、ものすごく味が濃そうな食べ物ですね。日本の方はそういう男性を好むのですか?

頼りになるかっこいい男ってのなら世界中どこでも関係ないんじゃない?

彼らは珈琲の味を熟知している。そして、適度な暇を好む。そんな男性像を知りたくば少し下がってみるがいい。喫茶店で軽く読む程度には用意した

- 🥃【ハードボイルドという名の孤独】──沈黙の背中に火を灯す文体
- 🔫【火薬の香りとともに生まれた文学】──鋭さと沈黙のリアリズム
- 🌆【都市が語り、画面が詩になる】──ハードボイルドという様式の“温度”
- 🎥【活字の沈黙が映像に変わるとき】──カメラが拾った沈黙の断章
- 🇯🇵【渇きは海を越えて】──日本的ハードボイルドの息吹
- ✒️【祈りと儀式としての様式美】──ハードボイルドという未完の詩、そしてその詩を歩く者たちへ
- 🕶️【影を背負い、夜を歩く者たち】──ハードボイルド的主人公の肖像
- 🕯️【語りの定石と、美しき“あるある”】──儀式としてのシーン群
- 🎭【結末は、ただ一つではない】──そして詩は静かに終わらない
- 🔍【1時間の孤独な推理劇】『和階堂真の事件簿』が描く、ノワールな日常の闇
- 🎮【作品構造とゲーム性】──無駄を削ぎ落とした“探偵ごっこ”ではない探偵劇
- 📚【章ごとに紡がれる死と謎】──1時間の小劇場、それぞれの暗い余韻
- 🛠️【墓場文庫という異能】──遊び心と耽美の交差点
- 📱【遊べる場所と広がる受容】──スマホでも、コンソールでも、どこでも推理を
- 深夜管理人によるぼやき
- 評価解析】『和階堂真の事件簿』に寄せられた賛否とその真意
- ❌【課題とされる側面】──遊びの幅と操作性に滲む“惜しさ”
- 📝【総合的な評価】──物語を愛する人のための一作
- ✨【このゲームをおすすめしたい方】──物語を“読むように解く”ことが好きなあなた様へ
🥃【ハードボイルドという名の孤独】──沈黙の背中に火を灯す文体

「ハードボイルド」とは、元を辿れば“固ゆで卵”のこと。少し拍子抜けするようなその語は、しかし、時代と共に変質し、文学と映像の世界では、言葉に頼らず真実を射抜く様式として立ち現れましたの。
感情は見せない。けれど、ないわけではない。
銃声が響いても叫ばず、傷ついても笑わず、ただ煙草に火を点けて立ち去る――そんな男たちの物語こそ、ハードボイルドの本質にございます。
彼らは語らないのではなく、“語らぬこと”で感情の深さを演出していたのですわ。
このスタイルが生まれたのは、1920年代のアメリカ。
戦争を経て疲弊した社会、禁酒法がもたらした地下犯罪の拡大――理想とは程遠い“現実の泥濘”の中で、それまでの紳士的な推理小説では到底描けぬ闇がそこにありました。
ハードボイルドは、その闇を見つめ、口を閉じたまま描くための文体でしたの。
🔫【火薬の香りとともに生まれた文学】──鋭さと沈黙のリアリズム

ハードボイルド文学が目指したのは、“判断”ではなく“観察”。
登場人物の倫理を問うのではなく、ただその選択を描く。
暴力が振るわれても、それが正しいかどうかは語られない。ただ、そうなった事実だけが、静かに活字の上に残されるのです。
そして、そんな冷ややかな筆致に命を宿したのが、三人の異能の作家たち。
- ダシール・ハメット
『マルタの鷹』を生み出した先駆者。私立探偵という職業に、血の匂いと汗の重さを与えた人物ですわ。彼の描く探偵は、清廉でも聡明でもない。ただ、何も信じず、それでもなお真実に向かって歩く足を止めなかったの。 - レイモンド・チャンドラー
『ロング・グッドバイ』では、友情という名前の幻影にすがる男たちを、まるで詩のような筆致で描きました。彼の文体は、荒んだ街の片隅にも一滴のロマンスを漂わせる、“孤独の詩人”そのものでしたわ。 - ロス・マクドナルド
家庭という閉ざされた舞台に視線を向けた作家。
彼の物語には、犯人と被害者の境界が曖昧で、登場人物たちは皆、自らの内側に“静かな狂気”を抱えて生きておりましたの。ハードボイルドの哲学を、外の世界から内面へと反転させた異端児――それが彼でございます。
彼らが共通して描いたのは、“語らない男”たち。
拳銃の代わりに沈黙を携え、真実の代わりに苦いウィスキーを飲み干す男。
彼らの背中はいつだって不器用で、正義のためではなく、“自分のけじめ”のために動いていたのですわ。
正義は語られず、愛は報われず、傷は癒されない。
けれど、それでもなお歩き続ける“誰か”のために生まれた文体――
それが「ハードボイルド」なのですわ。
参考サイト→Britannica
🌆【都市が語り、画面が詩になる】──ハードボイルドという様式の“温度”

ハードボイルドにおいて、物語を彩る都市は単なる舞台装置ではございませんの。
むしろそれは、もう一人の登場人物であり、主人公たちの傷や沈黙を写し出す、巨大な鏡のような存在でございます。
そこにはネオンが瞬き、雨が路地を洗い、酒と罪の匂いがすぐそばにある。
バーのグラスに揺れる氷の音すら、そこでは台詞より雄弁なのです。
正義など滑稽に思えるほどの腐敗、善と悪が混ざり合う濁流。
希望は、せいぜいバーボン一杯ぶんのぬるい夢――それでも、生きるしかない者たちが、煙草をくゆらせながらその街角に立っている。
善人が堕ちるのではない。
誰も最初から“完全なる善”など持っていなかっただけのこと――それが、ハードボイルドの街の真実ですわ。
🎥【活字の沈黙が映像に変わるとき】──カメラが拾った沈黙の断章

この様式美は、やがて紙の上からスクリーンへと、静かに転移してゆきました。
『マルタの鷹』『ダーティハリー』『カサブランカ』――いずれもハードボイルドの美学を映像化し、“観る詩”として結実した作品たちでございます。
映画の中で語られるのは、言葉そのものではなく、沈黙の重み、視線の交錯、間に漂う未完の感情。
カメラが追うのは拳銃ではなく、男の手元。セリフではなく、煙草の火。
そこに込められた“言わぬこと”の数々が、観る者の胸をひどく静かに打つのですの。
🇯🇵【渇きは海を越えて】──日本的ハードボイルドの息吹

この沈黙の美学は、遥か東の島国・日本にも届きました。
村上春樹が描いたのは、都市の静けさと、男の内なる乾き――『羊をめぐる冒険』は、現代的なハードボイルドのひとつの到達点と呼べましょう。
北方謙三の『ブラディ・ドール』では、復讐と贖罪が交差するその刹那を、あえて無言のまま描き切る潔さが際立っております。
そしてアニメ・漫画の世界にも――
『カウボーイビバップ』では、銃声よりも“間”が物を言い、『BLACK LAGOON』では、混沌と暴力の中に宿る孤独が光ります。
東洋的情感と西洋的クールネスが融合し、新たなハードボイルド像がそこに生まれたのですわ。
✒️【祈りと儀式としての様式美】──ハードボイルドという未完の詩、そしてその詩を歩く者たちへ

ハードボイルドには“定型”がない――そう言われて久しい。
けれど、読者や観客は知っているのですわ。
そこには確かに、様式美としか呼べぬ何かがあることを。
それは物語を進めるためのテンプレートではなく、**感情を言葉にしないための“祈りのかたち”に他なりませんの。
たとえば、こう。
情報屋は、最後には裏切る。
雨は都合よく降り、ネオンが濡れた舗道に滲む。
セリフは短く、だが行間は深く、長い。
「お前のやり方じゃ誰も救えない」と誰かが言うと、主人公は答えず、煙草に火を点ける。
これらは“クリシェ”ではありません。
儀式ですの。
ハードボイルドの物語とは、沈黙と余韻の積層によって築かれた、未完の詩。
だからこそ読者は、その様式を知りながら、また新しい物語を求めて扉を叩くのです。
――いつか、あの孤独な男が報われる日を、祈るように。
🕶️【影を背負い、夜を歩く者たち】──ハードボイルド的主人公の肖像
ハードボイルド作品における主人公とは、暴力の世界に生きながら、内側では誰よりも繊細な何かを守り続ける存在。彼らの背中にこそ、このジャンルの哲学が宿っていますのよ。
● 孤高の一匹狼
私立探偵、元刑事、あるいは素性の知れぬ“何か”。
彼らは常にどこにも属さず、誰にも完全に心を許さない。
仲間はいても共犯者はおらず、愛はあっても共有されない。
その孤独は選んだものではなく、“選ぶしかなかった”人生の結果でございますわ。
● 冷静沈着で皮肉屋
感情を表に出さぬ代わりに、彼らは言葉で相手を制す。
皮肉と機知で揺さぶり、観察力で真実を見抜く。
一見無関心に見えても、その目は誰よりも人の痛みを知っている。
● 腐敗した都市に潜む探求者
彼らが歩くのは、正義など笑い話にされる街。
警察も法も信じられず、自分の拳と信念だけが頼り。
真実を追いながらも、その真実が救いにならないことを知っている。
● センチメンタルな影
ハードボイルドの男たちは、実のところ誰よりも優しい。
彼らの行動は、過去の喪失や後悔――愛する者を守れなかった痛みから来ることが多い。
表情は動かずとも、その一歩一歩が、すでに“叫び”なのでございます。
🕯️【語りの定石と、美しき“あるある”】──儀式としてのシーン群

このジャンルが愛され続ける理由のひとつに、“読者が知っている風景”があります。
そう、それは繰り返されるからこそ美しく、微細な変化が味わいになる儀式的場面たち。
- バーでの独り酒
グラスにはバーボン、口には火のついた煙草。男は何も語らず、ただ記憶を飲み干す。 - モノローグの独白
「誰かが間違っていた。問題は、それが誰なのかってことだ。」
語られるのは思考であり、心ではなく、体でもなく、“世界そのものの読解”。 - 雨の夜の追跡劇
足音と銃声が交錯するなか、正義の追跡か、復讐の儀式か――その答えは夜が明けてもわからない。 - フェム・ファタールの登場
魅惑的で危険な女。彼女は真実を語らないし、男はそれでも信じてしまう。
美しさに裏打ちされた謎と誘惑が、主人公を破滅か救済へと導く。
🎭【結末は、ただ一つではない】──そして詩は静かに終わらない

ハードボイルドの物語には、“完璧な勝利”など存在しませんの。
事件が終わっても、心は報われない。
悪が裁かれても、善が満たされるわけではない。
それでも彼らは進む。なぜなら、その“進み続けること”こそが、唯一残された救いなのですわ。
ハードボイルドとは、終わらぬ物語。
語りかけず、叫ばず、ただ“そこにいる”ことの尊厳。
読者はその沈黙の中に、いくつもの傷と優しさを見出すのです。
そして気づけば、ページを閉じながら、また別の物語を手に取っている――
救われることのない者たちが、再び夜の街を歩く、その背中を見送るために。
如何か?斯様な男になりたいと思うのも無理はないと思うが?

かっこいいけど・・・一緒にいたらなんか会話に困りそう・・・

そうね、察せよお前って感じがしてお互い察しすぎなくて喧嘩しそう

ハードボイルドが現代に流行らない理由は女性側にもありそうだな、興味深い

🔍【1時間の孤独な推理劇】『和階堂真の事件簿』が描く、ノワールな日常の闇

レトロなドット絵が点滅する静かな画面の向こうに、まるで古びた活版印刷のような、ひとつの謎と罪の物語が始まる――
『和階堂真の事件簿』は、インディー開発チーム「墓場文庫」が手がける短編推理アドベンチャーシリーズ。そのコンセプトは明快にして潔い。「1時間でクリアできる本格ミステリー」。
だが、その短さに騙されてはいけませんわ。
そこにあるのは、ドットの粒を超えて伝わってくる人間の業と、ハードボイルドな香気をまとった、まるで文芸誌の一編のような体験。そんなゲームでございますの。
🎮【作品構造とゲーム性】──無駄を削ぎ落とした“探偵ごっこ”ではない探偵劇
『和階堂真の事件簿』は、プレイヤーが探偵・和階堂真となって事件の真相を追うポイント&クリック形式のアドベンチャーゲーム。聞き込み、証拠収集、推理と論理展開――そのどれもが簡潔ながら的確に組み込まれ、“考える愉しみ”を忘れたことのないプレイヤー”**を迎え入れてくれるのです。
特筆すべきは、シリーズを通じて徹底されるミニマルなビジュアル美学。
モノクロに赤を挿したドット絵、古典的探偵小説のような静謐な画面設計。
このアートスタイルが生み出す空気は、まるでノワール映画や戦後小説の挿絵のように、静かで美しい狂気を滲ませていますの。
📚【章ごとに紡がれる死と謎】──1時間の小劇場、それぞれの暗い余韻
本シリーズは、短編形式で語られる全4作が存在し、それぞれが独立した事件ながら、和階堂真という人物の輪郭を少しずつ明らかにしてまいります。
● 処刑人の楔(2020年8月)
80年代日本、カルト宗教と連続首なし殺人。閉ざされた信仰と暴力の交差点を描くダークな幕開け。
● 隠し神の森(2020年12月)
因習に支配された山間の集落で起きた神隠し。儀式と狂気が渦巻く、民俗学的異色編。
● 影法師の足(2021年6月)
自らが容疑者となった和階堂が、真実によって自身を救おうとする自己照明の章。
● 指切館の殺人(2023年10月)
嵐に閉ざされたペンション。記憶と怪異、そして人間関係の歪みが絡む、密室ミステリーの集大成。
これら4作品は『和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE』として、Nintendo SwitchおよびSteamでひとつにまとめられています。
🛠️【墓場文庫という異能】──遊び心と耽美の交差点

本作を手がけたのは、「墓場文庫(Hakaba Bunko)」という小規模インディーチーム。
主な開発メンバーには、MOCHIKIN氏(企画・プログラマー)、きっきゃわー氏(シナリオ)、ハフハフ・おでーん氏(ビジュアル・演出)らが名を連ねております。
もともとこのプロジェクトは、「ゲーム制作のリハビリ」という内省的な動機からスタートしたものでした。それが今や、国内外の熱心なプレイヤーから高い評価を得る**“インディー発・思考型短編推理劇”**へと昇華したのですから、開発者の美学と執念には拍手を贈りたくなりますわね。
📱【遊べる場所と広がる受容】──スマホでも、コンソールでも、どこでも推理を
- スマートフォン(iOS/Android): 各エピソードごとに無料配信。誰でも気軽に本格ミステリーを味わえる入り口。
- Nintendo Switch/Steam: 有料配信。4作収録の『TRILOGY DELUXE』にて、より統一感ある体験が可能。
“ちょっとした空き時間で、ずしりと残る読後感”――
そんな贅沢を味わいたいあなた様には、どのプラットフォームでもおすすめできる珠玉のシリーズでございます。
『和階堂真の事件簿』は、Google Indie Games Festival 2021 TOP10入賞、そして集英社ゲームクリエイターズCAMP賞を受賞するなど、業界からも熱い視線を浴びております。
これをきっかけに開発チーム「墓場文庫」は、集英社ゲームズとタッグを組み、次回作『都市伝説解体センター』という新たなタイトルに取り組んでいるとのこと。
再び、“影の中でひっそり語られる名作”が生まれるかもしれませんわね。
昭和の残滓のような空気の中に漂う、人と罪の記憶。
冷たく乾いた画面に潜むのは、「死」と「言葉」と「解かれぬ感情」。
このゲームに「派手な演出」はありません。
しかしその代わりに、あなた様の想像力を試す静寂が、深く、濃く、待っておりますわ。
どうぞ――その一時間に、心を捧げてみてくださいませ。
謎は解けても、心に残るものは、それだけではないのですから。
深夜管理人によるぼやき

ここからは個人的なゲームの感想を記していく。ネタバレが多く含まれると思うがよろしくお願いしたい、まずはこちらのゲームをネットで見た評価はこのような形だ
評価解析】『和階堂真の事件簿』に寄せられた賛否とその真意
推理アドベンチャーというジャンルにおいて、“短時間で濃密な物語体験”というニッチを鮮やかに射抜いた『和階堂真の事件簿』。
プレイヤーの間では、その完成度と演出力を高く評価する声が多い一方で、ゲーム的自由度や操作性に対する指摘も少なからずございますの。
以下に、その声を整理しつつ、作品の魅力と課題を読み解いてまいります。
🌟【称賛の理由】──短編ミステリーの“様式美”を貫いた構成と雰囲気

🎭 1時間完結の物語が放つ静かな衝撃
各エピソードが約1時間という短時間で幕を閉じるにもかかわらず、意外性・どんでん返し・余韻といった“ミステリーの三拍子”がしっかり揃っており、読後感の満足度は非常に高く評価されておりますわ。
「短時間で楽しめる、ドット絵の世界で本格ミステリー体験」
🕵️ ハードボイルドと昭和情緒の融合
レトロドット絵と抑制の効いた演出により、どこか昭和ノワールを彷彿とさせる雰囲気が漂い、ハードボイルドな美学に浸れるという声も。BGMや配色、テキストの間の取り方が絶妙で、「空気が味わえるゲーム」としても注目されていますの。
👤 主人公・和階堂真の魅力
「感情を出さないけれど、情がないわけではない」――
そんな主人公・和階堂真の淡々とした態度が、逆にプレイヤーの想像力を刺激し、深みを生んでいます。彼の“語らない優しさ”が、シリーズを通して徐々ににじみ出てくる構成も好評の一因。
🔗 伏線回収とシリーズの縦糸
各話独立しているように見えて、実は登場人物や事件の背景に共通のモチーフが散りばめられているため、1話から順に追うことで新たな気づきと回収の快感が得られるとのお声もございます。
🎮【ゲームとしての手触り】──「考える快楽」を優しく誘う設計

📖 親切な導線とストレスの少ない進行
推理が苦手な方でも安心してプレイできるよう、ヒント機能や分かりやすいUIが整備されており、ゲームオーバーのない構造も“読書感覚で進められる”という安心感を提供していますの(※一部エピソード除く)。
✍️ 手帳システムの快感
証言を集め、手帳に記録し、推理パートで“ピースが嵌る快感”を味わえる構成は、**本格ミステリーの“答え合わせの愉悦”**を提供。
この「整理して納得するプロセス」が丁寧で、推理初心者にも敷居が低く設定されておりますの。
❌【課題とされる側面】──遊びの幅と操作性に滲む“惜しさ”
🧠 推理の自由度とプレイヤーの関与感
- 一本道の進行構造:
選択肢が分岐せず、間違えてもすぐ再試行できる仕様のため、「推理している感覚が薄い」「読むゲームに近い」との声も。 - 総当たり感への指摘:
情報セット→聞き込みの繰り返しが単調に感じるケースもあり、“プレイヤー自身が事件を解いている”実感が弱まる場面がございますの。
🖱️ 操作・UIに関するフィードバック
- 移動速度の遅さ:
探索パートにおいて、主人公の動きがややもたつく印象を与え、テンポを損ねるとのご意見が多数。 - UI機能の未整備:
既読スキップやログ確認がないため、誤操作時にセリフを繰り返すストレスが発生。 - クリックの判定範囲が狭い:
オブジェクトとのインタラクト反応が限定的で、特にマウス操作時にストレスを感じるという意見も見受けられます。
📝【総合的な評価】──物語を愛する人のための一作

全体としては、Steamレビューでも肯定的評価が約70〜80%を占めるなど、好意的な受け止めが多数派でございます。
平均プレイ時間は5〜7時間前後とコンパクトでありながら、ミステリーというジャンルの核心にしっかり触れられるという点で、多くの読者(=プレイヤー)の心をとらえておりますの。
✨【このゲームをおすすめしたい方】──物語を“読むように解く”ことが好きなあなた様へ
- 推理ADV初心者
- 読書のように物語を味わいたい方
- ハードボイルドな雰囲気が好きな方
- ノスタルジックな昭和テイストに魅かれる方
- 「謎解き」より「構成美と演出重視」の方
「推理というよりは“答え合わせ”、でも読後感は最高」
「気軽にできるのに、しっかり驚かされる構成力に脱帽」
ハードボイルドの煙の向こうに、きっとあなた様だけの“真実”が見つかりますわ。

以上のように同意見な感想が多い、それを踏まえてこちらに感想を述べよう
『和階堂真の事件簿』は、後に登場する『都市伝説解体センター』の“原点”と呼ぶにふさわしい作品でもある。実際、ゲームシステムの基本的な流れやプレイ感覚は、両者の間に明らかな共通点があると感じた。
まず、展開の形式としては、犯人を追い詰めるような王道のミステリーというよりも、「すでに終わった事件を、誰かが静かに語り聞かせる後日談」といった趣きが強い。そのため、ゲームオーバーや選択肢の罠に詰まることはほとんどなく、あくまで“語りをたどる”体験としてプレイヤーに委ねられている。

もちろん全く推理しないわけではない。ただし、“本格的に論理で詰める”というよりは、情報というパズルピースを正しく配置していくことで道が開ける構成で、これも『都市伝説解体センター』とかなり似ている部分。
そして今思えば、『和階堂真』の各話の要素をぐつぐつ煮込んで、そこから生まれたのが次回作『解体センター』なんじゃないか――そんなふうに逆に感じる人も多いんじゃないだろうか。
また、キャラクター表現については、当時の仕様もあってやや控えめ。ファミコンやゲームボーイのような小さなドットキャラが主体で、今のような立ち絵(バストアップ)は存在しない。
ドットの描き分けは工夫されているし、登場人物も多いんだけど、やっぱりシリーズ後半作を先にプレイしてしまうと「この人たちの立ち絵が見たい!」って欲がどんどん出てくる。
特に三話目の事件なんかは“金田一”っぽい群像劇で、キャラ数も多くて印象に残る。いつかリメイクとかで立ち絵付きバージョンが出てくれたら、絶対もう一回遊びたくなる。

あと、開発者のコメントにもあったように、最初の事件以降はやや“引き延ばし感”があるのも否定はできない。
和階堂が「また事件に巻き込まれるのか……」という展開がやや強引に感じられるところもあって、キャラが事件を“自ら望んで追う”というより、“押し付けられてる”感があったのはちょっと気になったポイント。
それから、これまでハードボイルドな文体や雰囲気についてあれこれ語ってきたけど、実際このゲームでは、祖父の方(和階堂源蔵)がその空気感を強く出している一方で、孫の和階堂真はまだそこまでではない印象。
言ってしまえば「半熟ハードボイルド」とでもいうべきか。確かに冷静ではあるけど、成熟した無骨さまではまだ届いていない。だからこそ、これからのシリーズでの成長に期待したくなるキャラクターでもある。
ちなみに、『都市伝説解体センター』は今や少女漫画雑誌での連載という新たな展開も始まっていて、ここからゲームに触れる人も増えるんじゃないかと思う。
そうなると、『和階堂真の事件簿』と世界観がどこかで繋がってたり、正式にコラボしてくれたら面白いなとつい想像してしまう。
正直なところ、“解体センターの刑事たちのビジュアル”とか、和階堂真の成長後の姿とか、もうちょっとしっかり見てみたい――そんな気持ちはやっぱりある。期待してる人、結構多いと思う。

苦いコーヒーと甘いパン。疲れた時には最高の組み合わせだと思います。誰か尾行したいといましたら是非にどうぞ
