プリンを頬張りながら人いないの世界を調査せよ「ガールズメイドプディング」

いなくなってから気がつく 黄昏時の観測より

世界の終末というのは意外と早く訪れるのかもしれない。しかし、人が人を観測できているのならば、進行を遅らせることはできるのかもしれません。

私たちは、孤独では何もできません

もし世界から人間が消えたなら─

ごきげんよう、皆さま。
一つ、思い浮かべていただけますか?──ある朝、目覚めると、あなた様以外の人間が誰一人として存在していないという現実を。街には誰の足音もなく、空はあくまで蒼く、世界はただ、風と木々の囁きだけを響かせているのですわ。
このような仮定は決して新しいものではございませんの。アラン・ワイズマン氏のご著書『人類が消えた世界』や、ドキュメンタリー『Life After People』においても、科学と詩情を交えて綴られております。さあ、ご一緒に “人の不在” が世界にもたらす静謐なる変化の時の流れを追ってまいりましょう。
⏳人類なき世界──時間とともに変わる地球の姿
🌘数時間以内
- 電気は静かにその灯を落とし、街の灯りが星空へと明け渡しますの。
- 地下鉄や排水機構は止まり、水は音もなく都市の地下へとしみ入り始めますわ。
🌒数日後
- 飼われていた動物たちは主を失い、空腹に耐えるか、あるいは野性へと還っていきますの。
- 排水が滞り、雨水は街路を満たし、小さな湖のような風景を生み出しますわ。
🌓数週間から数ヶ月後
- 原子炉の冷却機構が沈黙を守れば、放射の霧が大気へとにじみ出す恐れがございますの。
- 都市の壁面には苔が芽吹き、鉄は雨に泣き、風に歌いながら崩れてゆきますわ。
🌔1年後
- 空はかつてないほど澄み渡り、空気には懐かしい匂い──それは“自然”の息吹かもしれませんわ。
- 鹿や狐、鳥たちが街角を我が物顔に歩み、マンホールの蓋に月が映る夜もあるでしょう。
🌕数十年後
- 高層ビルは藤の蔓に抱かれ、橋は鉄の骨を露わにしながら朽ち果てますの。
- コンクリートの裂け目から芽吹いた草木が、都市の名残をそっと覆い隠しますわ。
🌖数百年から数千年後
- 都市は完全に緑の波に呑まれ、そこにかつて人の住まいがあったとは、誰も気づかぬことでしょう。
- けれども、ガラス片やプラスチックの欠片、あるいは封じられた放射性廃棄物が、沈黙のなかで人間の記憶を訴え続けるのですわ。
🌿自然界の調べ──人がいなくなった後の生命たち
- 管理されぬ自然は、たちまちにして自由な舞を始めますの。外来種は境界を越え、かつてない生態系の再構築が始まることでしょう。
- 動物たちは、人間が遺した遺構──橋や塔、廃屋を、新たな住処として選ぶこともございますわ。まるで過去の夢の残り香に包まれて眠るように。
📖思索と芸術の彩り──参考作品のご紹介
- 書籍:アラン・ワイズマン著『人類が消えた世界』
- 映像:ドキュメンタリー番組『Life After People』(ヒストリーチャンネル)
- 記事:GIGAZINE「もしも地球上から突然全ての人間が消失したら世界はどうなるの?」
🎬映像とともに紐解く“人間不在の地球”
「もしも人類が消えた世界──1年後の地球は?」
──そんな問いを映像化した動画がございますの。静かな世界に広がる生命の輝きを、どうぞご覧あそばせ。
この儚き思考実験は、単なる終末の予測ではございませんの。
それは“人間とはいかなる存在か”“わたくしたちは自然とどう共にあるべきか”という深き問いを、鏡のようにわたくしたちへ返してまいります。
ああ、もしこの地球が、再び“静けさ”のなかで息づくならば……その美しさに、わたくし涙すらこぼしてしまいそうですわ。
🍮『ガールズメイドプディング』という希望の物語
ごきげんよう、皆さま。
「世界が静かになったその日、人間は姿を消しましたの──けれど、物語は終わらなかったのですわ。」
本日は、KAMITSUBAKI STUDIOとKazuhide Oka氏による幻想的なインディーゲーム『ガールズメイドプディング』をご紹介いたしますの。
誰にも見られなければ消えてしまうという不思議な世界を、少女たちがバイクで駆け抜け、語らい、そして心を通わせていく──これは絶望の果てで出会う、希望と再生のアドベンチャーでございますの。
🏍️世界の終わりではなく、世界のつづき──物語の舞台

舞台は、“人のまなざし”が存在しなければ存在できないという謎めいた現象に包まれた終末世界。
その中で、元喫茶店の常連スミビと、アルバイトのニコミが一台のバイクに乗り、「もう一度、あのときのプリンが食べたい」というささやかな願いを胸に旅を始めますの。
人が消えた世界であっても、言葉を交わし、食卓を囲み、笑い合える──そんな“温かさ”を、この作品は美しく描いておりますわ。
🗺️走りながら語らうADV──会話と風のツーリング構造

- バイクで走行している最中に物語が進行。停止すれば、会話も沈黙へと戻るという演出が、現実と夢の狭間のようでとても幻想的ですの。
- 分岐する道、選び取る言葉──あなた様の選択が、彼女たちの未来のかたちを変えてまいりますのよ。
- そして、旅の途上で集めた素材をもとに料理をつくり、食べることで心と身体を癒していく“ごはんの魔法”も魅力の一つ。特に「プリン」という甘く切ない記憶の味が、物語全体にやさしい余韻を添えておりますの。
🎨表現世界を彩るアートと音楽の饗宴

本作のキャラクターデザインを手がけたのは、繊細な筆致で知られるイラストレーター・ずもち氏。
楽曲面では、kahoca(from EoC)、むト、一ノ瀬陽鞠、mといった才能あふれる音楽家たちが作品世界に生命を吹き込んでおりますわ。
バイクのエンジン音に重ねて流れる旋律、それはまるで“心が走っている音”のように響き渡りますの。
🎮制作陣の魅力と歩み──独特な世界観の継承
- Kazuhide Oka氏は、『ナツノカナタ』『午前五時にピアノを弾く』『ムーンレスムーン』などで知られる物語紡ぎの名匠。 静けさと哀しみの中にも、確かな“ひかり”を見出すストーリーテリングに定評がございますの。
- KAMITSUBAKI STUDIOは、音楽と映像、そして感情を紡ぐ最先端の表現集団。ANMC(アノマチ)プロジェクトでは、ゲームという器に物語と音楽を注ぎ込み、新たな芸術の形を追求していますの。
🛒対応プラットフォームと価格情報
- Steam(Windows/Mac):2025年4月9日発売。現在、17%オフのセール価格(996円・税込)でご提供中。
- Nintendo Switch:2025年4月10日発売。同様にセール中でございますわ。
✨“終末”は、あたたかな再会のはじまり──まとめに代えて

『ガールズメイドプディング』は、崩壊した世界を前にしても、なお日常の幸せを大切にしようとする少女たちの旅路を描いた、美しくもやさしい物語ですの。
会話を重ねること、料理をともにすること、そして「想い出のプリンをもう一度食べたい」と願うこと──そのすべてが、この世界に“人の温度”を取り戻してゆきますの。
“人がいなくなった後の世界”という設定でありながら、こんなにも明るく、前向きで、そして元気になれる作品があるなんて──まあ、胸がきゅんといたしますわ。
やっぱり、この作品やったら、絶対プリン食べたなる思いますわ〜!せやし、ちょっと見ていかはりません?ほな、コンビニにダッシュでも全然かまへんのんちゃいます〜?

深夜管理人によるぼやき
ここから作品をプレイしての感想などツラツラとぼやいていく。まずはネットなどで見た高評価な部分をピックアップしておいた、ご参考にどうぞ

🛵 『ガールズメイドプディング』レビュー|やさしさと静けさを旅するADV
🔹 プレイ時間:4~6時間
🔹 ジャンル:ツーリング・ビジュアルノベル+料理
🔹 おすすめ対象:チル系ゲームが好きな方、静かで味わい深い物語を楽しみたい方
🌿 旅の「静けさ」が、むしろ贅沢なご褒美ですわ
本作の最大の魅力は、あえてのローテンポ。
近年の“せわしない”ゲームに慣れた身には一瞬戸惑うかもしれませんが、このテンポこそが、二人の少女の旅路にぴったりはまっておりますの。
「ただの移動すら、ふたりの会話とBGMで癒しの時間に」
「移動が“ストレス”ではなく、“物語”になる不思議な感覚」
まるで風に揺れる草原のような、穏やかでやさしい時間がそこにはありますの。
🍮 料理が鍵を握る──“食”と物語の繊細な結びつき
旅の途中で集めた素材を使って料理を作ることで、ストーリーが展開するユニークな構造。
“ただ食べるだけ”でなく、ごはんが感情や記憶を繋げていくという仕組みに、心がきゅんとしてしまいますわ。
「プリンという名の想い出をめぐる旅……甘くて、ちょっぴり切ないですわね」
🎶 耳を満たす音楽、美しい沈黙の間──音と空気の演出力が秀逸
OPやエンディング曲はもちろん、道中のBGMまでが本作の魅力を高める一翼を担っていますの。
「OP曲を流しながらのバイク移動が最高でしたの」
「終盤、静かになるタイミングと音楽の演出が美しくて涙が…」
耳と心に優しいこの空間、まさに“聴くための旅”とでも申しましょうか。
🐾 “百合×猫耳×終末世界”という新ジャンルへのいざない
可憐で少し頼りないスミビと、明るく無邪気な猫耳メイド・ニコミのコンビが織りなす空気感は絶妙ですの。
百合的要素もほんのり漂いつつ、どこか共依存ぎみな雰囲気が“今この瞬間だけの命”を感じさせてくれます。
「ふたりの関係が心地よく、でも切ない」
「EDの猫耳ニコミが反則的に可愛い!」
🧭 初心者でも安心のプレイボリュームと設計
実績コンプまでの時間はおおよそ4~6時間程度。
難易度も「Story」モードを選べば、パラメータ管理を気にせず音楽と物語に没頭できますわ。
「ノベルゲーム初心者でも楽しめました」
「終わってしまうのが惜しいと思えるゲーム、久々でしたの」
🏷️ 総合評価:★★★★☆(4.5/5)
- + 癒しの旅、やさしい物語、料理と音楽の融合
- + ユニークで心温まるキャラクターたち
- + ローテンポな進行が癒しになる新鮮な体験
- − 若干のテンポの悪さや操作面の粗さあり
📝一言まとめ
「心が疲れたとき、静かな夜にプリンでも食べながらプレイしたくなる──そんなゲームですの」
このように紙芝居のように進めていくADVとは違った楽しさがあり、その終末のような世界観の割にはあまり悲観的じゃないのが良い点だろう


このゲームには、大事件もなければ、得体の知れない怪物に襲われるようなことも本当にない。
せいぜい野犬や野良動物に出くわす程度で、アイテムを与えて回避すれば済む。基本的にピンチというものが存在しない。
そんな世界で、ふたりの少女はただバイクを走らせる。どうでもいい話や、この世界の本質に触れるような真面目な話を交えながら、ゆっくりと「暇つぶし」をしている。まさにそんなゲームだ。
ゲーム中の楽しみのひとつである料理シーンも、彩り豊かで実にそそられるビジュアルになっている。
ただ、ストーリーを進行させるために仕方なく食べさせているような場面もあり、やや無理やり感は否めない。とはいえ、この世界では性別や食のこだわりもすでにどうでもよくなっている。
しっかりと眠り、しっかりと食べる──それだけで十分な世界だと、そう感じさせられる。
気になる点を挙げるなら、上述したような強引な食事イベントや、やや単調な風景の繰り返し。
状況にもよるが、特定の食材がなかなか見つからないこともあって、テンポが崩れることもある。
景色にしても、トンネルを抜けた先がまた同じような風景の繰り返しだったりして、没頭できるような“簡素さ”の裏で、地方ばかりを延々と走っているような感覚になる。都市らしい場所は登場しない。
旅の途中でゲストキャラがふたり登場するが、ほんの短い出会いののち、それぞれの目的のために別れてしまう。
せっかくなら一時的にでも四人旅にしても良かったんじゃないか?と思ってしまうほど、あっけない別れだったのが印象的だった。
「人が消えてしまった世界」という設定で物語は展開されていくが、個人的にはむしろ、神隠しに遭っているのはスミビとニコミ、そして同行したふたりの側なのではないかと思っている。
もしかすると、今作の舞台そのものが現実とは異なる、死後の世界──そんな印象も受けた。
猫耳メイドのニコミにしても、あれは実は“飼い猫の姿”が投影された存在なのではないか。
人を寄せつけないスミビの、唯一のパートナーである猫がこの世界に寄り添って登場した──そう考えると、この突飛な格好にも意味があるように思えてくる。
受験の話や喫茶店のバイト話が出てくるが、それらが真実なのか創作なのかもはっきりしない。誰も証明できない、それがまたこの作品の余韻を深めている。
正直、このゲームが普通のADV形式で、立ち絵とテキストウィンドウだけで延々と会話が続いていくものだったなら、ここまで惹かれなかったかもしれない。
けれど、助手席に友人を乗せて、当てもなく走りながらどうでもいい話をして──
その空気感には心当たりがあるし、自分にとっては最高のシチュエーションのひとつだった。
せっかくキャンプ機能もあるのだから、もう少し“旅”というテーマを前面に押し出した作品が次に出てくれたら嬉しい。
ゆるキャンほどではなくてもいい、でも、それくらいの“旅への意識”が感じられる次回作を、つい期待してしまう。