競馬を楽しむのは競走馬だけではない。
環境を楽しむのも一環で、モニター越しでは味わえないリアルタイムで観客と一緒になり、それに重なる熱い実況を生で聞くことに意義がある。
ウマ娘というゲームで競走馬をアイドル化させているが、リアル競馬でもアイドルのライブを見に行っているような感じで応援していると解釈すると面白い。
当然、そこには金額が絡む内容なので全員がそういう目線で見ているわけじゃないが、独特の雰囲気を味わいたいから遠出してまで競馬場へ赴く気持ちもわからないわけじゃない。
これはどのスポーツでも、盛り上がりを見せている時に盛り上がるボキャブラリー溢れるワードを繰り出し、視聴者をより引き込む手腕はものすごい。
リアルタイムでも重要ポジションだが、ゲーム内でもここは外せない。
ライブドアが発信する「ゲームさんぽ」で紹介されたのは、コーエーから発売された「ウイニングポスト」シリーズ。
膨大な数の競走馬が登録されており、育成だけじゃなく活躍した競走馬そのものを知ることができるなど大辞典のようなボリュームだ。
コーエーから発売された「ウイニングポスト10」
ウイニングポストって?
1993年に「信長の野望シリーズ」「三國志シリーズ」「提督の決断シリーズ」などで知られる光栄から発売された競走馬育成ゲーム。
現在は「DOAシリーズ」「モンスターファーム」などで有名なテクモと合併して「コーエーテクモゲームス(KTゲームス)」として活動している。
ゲームの内容は、競走馬を育ててレースに出走し、引退後に繁殖入りさせて次の世代へと繋いでいくこと。
似たような内容で言えば、アスキー(エンターブレイン)から発売された「ダービースタリオンシリーズ」があるが、決定的な違いは、「ダビスタ」は時代をループして育成していくので、実在の競走馬も何度も顔見せしたりするが、「ウイポ」では作中に登場する人間も加齢し次第に引退する。さらにはその世代に活躍した実在競走馬も出てこなくなる。
さらに「ウイポ」の場合は、人間ドラマにも注力しているので登場人物はかなり多い。
しかし、膨大ながらに覚えることが多く、初心者がプレイするには少々敷居が高い。
どちらのゲームにも言えることだが、「ウマ娘」で※あっさりとG1レースに勝ったから、ゲームだからあっさりクリアできるだろう競走馬育成に手を出すと「案外勝てない」ことを実感できる。
※ウマ娘内でも、ある程度プレイしないと全部クリアできないのは同じ。
今回のゲーム散歩のみどころ
泉悠介アナウンサー
東京都中野区にあるフリーアナウンサープロダクション「耳目社(じもくしゃ)」に所属するアナウンサー。
泉さんと言えば、去年2021年、大井競馬場第3レースでアナウンサー泣かせと異名を持つ「スモモモモモモモモ(モが8個)」を、噛むことなく実況したことがニュースやSNSなどで話題となった。
実況歴12年のベテランな泉アナウンサーだが、勝利馬の間違えたり、ヨギボーの枕に寝転がった姿が可愛いアドマイヤジャパンの血筋を持つ「カツノナノリ」は少々苦手な模様。
開き直ったスモモモモモモモモ
戦績としてはあまり期待できる競走馬ではなく、新馬戦では8着スタート。3着以内に収まったのは次の選抜牝馬戦と泉アナが実況した3歳以下115.9万円以下のレースのみ。
当時は、変わった名前の馬を一回・二回程度読むだけのことだと思っていた。ところがハロン棒残り200mを見た瞬間にすかさず切り替え、スモモモモモモモモが勝つことを確信しアドリブで巻き返した。
話題の馬でグッズまで展開しているとはいえ、この咄嗟の判断は見事でした。
スギノハヤカゼ
泉さんが好きな競走馬に挙げたのが、1995年から2000年頃までかつやくしていた「スギノハヤカゼ」
勝ち鞍はスワンステークス、アーリントンカップ、中日スポーツ賞4歳ステークス、CBC賞。
泉さんの解説通り競走成績を見ると、1400mに強い馬でスワンCSでビコーペガサスに勝利している。
しかし、翌年の同試合やマイルCSには、同じアメリカ生まれの「タイキシャトル」が登場しており、惜しくも二着にという結果になってしまった。
その後、2000年代は得意な1400mでも勝利を掴むことができず、最後のマイルCSはアグネスデジタルが勝ちスギノハヤカゼは18着として競走馬としての役目を終えた。
スギノハヤカゼの情報は、もう一つあり実は雨が嫌いだったとのこと。
1998年の高松宮記念は、天候は雨で芝は稍重。タイキシャトルは出走しておらず、ビコーペガサス、シーキングザパールなどがエントリーしていた。
結果としてシンコウフォレストが勝利し、1着となってしまった。どこか天候にも恵まれない姿にも思い入れがある泉アナウンサーは、当時をモニター越しに懐かしんでいた。
アナウンサーは事前に塗り絵をする
レース当日、どの騎手がどの馬で出走するかを同然事前に把握しなくてはならない。
出勤したら出走表に、色鉛筆で名前のところをその騎手のカラーを塗っていきさらには、勝負服の模様も記している。
担当しないレースであっても、バックアップ要員として例え使わなかったとしても予め塗っておくのが基本なので、全レースを毎日繰り返している。
色鉛筆の消費量を多大に貢献しているのは、実況アナウンサーではないだろうか?
ほぼ毎日レースを見ているアナウンサーですら、時折忘れてしまうこともある。
やはり、根性で覚えろというより、できるだけ覚えやすい方法を編み出して、スムーズにことが運ぶやり方が成功の秘訣なのかもしれない。
生実況はやはり違う
ゲームの実況で物足りない部分、それは「感情」の違い。
例とすれば、アニメで聞いた演技とゲームで聞いた演技がかなり違うことがある。
それは収録している時の環境が大きく、まったく同じシチュエーションにも関わらずゲームだと抑え気味な演技に聞こえてしまう。
周りの演者さんの掛け合いも重なり、いつもと違った演技が聴けるが、ゲームでは一人で収録の場合もあるのでキャラクターのテンションの違いが出てしまう。
ゲームの実況アナウンスと生のアナウンスではかなり温度差が出てしまうが、それでも昔に比べたらその場その場に適した音声を当てているので、今後は生実況と同じような熱い実況が聴けるのかもしれない。
ゲームさんぽの動画はこちら
最後に
以前、スポーツ選手と見るウマ娘のゲームさんぽの動画を投稿していたが、いつか調教師や騎手の方と見る「ウイニングポスト」とか、ダービースタリオンが出てくるのかもしれない。
アナウンサー目線だからこそ聴ける話など、自分のようにネットで調べるだけじゃわからない情報が多いのでこういう企画はありがたいです。
次回も、泉悠介実況アナと一緒にゲームさんぽするので楽しみです。